上肢編

肩関節と肩甲帯・肘関節・手関節 手根部中手部・指関節

[肩関節と肩甲帯]

肩関節の靭帯:烏口上腕靭帯 上・中・下関節上腕靭帯 上腕横靭帯

肩甲帯の靭帯:上肩甲横靭帯 下肩甲横靭帯 烏口肩峰靱帯 

       肩鎖靱帯 烏口鎖骨靭帯(菱形靭帯 円錐靱帯)

       胸鎖靱帯(前 後) 鎖骨間靭帯 肋烏口靭帯


肩関節と肩甲帯の靭帯別症状と施術


・肩関節の靭帯

烏口上腕靭帯

構造と働き:烏口突起の全体の外側につき、関節包の上を被って大・小結節につく靭帯です。関節包の上面を補強する強い靭帯です。烏口突起の位置で内側と外側に引かれているかを検知する靭帯と考えています。

症状:肩関節の内転や外旋が強く起きた際に烏口上腕靭帯が伸張する。肩甲骨の上方回旋や前突(外転)は、肩関節の内転や外旋を起こしやすくする。肩甲下筋や僧帽筋(中線維)や棘上筋の緊張が起きる。

肩甲骨の上方回旋か前突(外転)は、C7~T1間の問題でも起きる。(脊柱編参照)

施術:肩関節を外転内旋にして無痛靭帯整復を行います。烏口突起を外側に圧迫する無痛靭帯整復を行う場合もあります。上記したようにC7~T1間の無痛靭帯整復を行います。

上・前・下関節上腕靭帯

構造と働き:関節包が周囲の筋の腱で補強されている以外の所で、肥厚している部分です。関節唇の上束 前束 下束から出て解剖頚につく。前関節上腕靭帯は、肩甲下筋腱の下に肩甲下筋腱下包がありその下につく。上腕を外転すると下束と前束が緊張し、外旋すると全て(上束 前束 下束)が緊張する。

症状:上腕を強く外転すると下束と前束が伸張します。腋下には腋下陥凹(えきかかんおう)があります。腋下はヒダがあり余裕があることから、上腕骨頭が下方に下がった状態(肩関節に対して上方からの強い外力による上関節上腕靭帯や烏口上腕靭帯の伸張が起きた状態。例:ラグビーのタックルなどにより)でなければ、下関節上腕靭帯の伸張は起きにくいのではないかと思います。そう考えると、外転時に損傷を受けやすい靭帯は、前関節上腕靭帯なのかなと思います。

上腕を強く外旋すると全ての関節上腕靭帯(上束 前束 下束)が伸張します。

上記より、肩関節脱臼は、外転外旋で起きやすいので、烏口上腕靭帯と関節上腕靭帯が肩関節脱臼の発生を規制しています。烏口下脱臼が多いのは、上関節上腕靭帯や烏口上腕靭帯が伸張した状態が慢性化していて、その状態で発生機転が起きた際におきやすいのではないかと思います。

施術:肩関節の下関節上腕靭帯が伸張していれば、肩関節内転による無痛整復を行います。その際に、烏口上腕靭帯や上関節上腕靭帯の伸張を抑制するために、上腕骨頭を上方に挙げながら行う無痛整復が良いと思います。不安定性が持続して疼痛の軽減が起きなければ、三角巾により上腕骨を上方に挙げた安静固定が有効です。

肩関節外旋により痛みがある場合は、肩関節内旋による無痛靭帯整復が必要です。上関節上腕靭帯や中関節上腕靭帯の損傷が強い場合は、肩関節外転内旋による無痛靭帯整復が良いと思います。

肩関節脱臼(烏口下)の整復は、患者(起立位)の後方より術者が腋下へ手を入れて示指 中指 薬指で骨頭を把握して、もう片方の手により上腕骨軽度外転で外旋しながら上肢を下方に牽引します。牽引とともに内転ぎみにしていき、骨頭を把握している指で骨頭を後上方にはね挙げると関節上腕靭帯の規制力で整復されます。

整復しにくい場合は、腹臥位にて肩関節に微弱電流治療器ソーマダインの通電を行いながら、患側上肢を下垂牽引すれば整復します。その際、時間がかかるようであれば、肩関節を外旋することで関節上腕靭帯の規制力で整復します。

上腕横靭帯

構造と働き:上腕二頭筋長頭腱を上腕骨大結節と上腕骨小結節の間に通すための靭帯です。肩関節において上腕二頭筋長頭の作用は、肩関節軽度外転と内旋です。その動きの際に、上腕横靭帯に力がかかります。

症状:肩関節の外転及び内旋時に上腕横靭帯の緊張が起きます。日常生活において肩関節は、外転 内旋で使用することが多いために、繰り返された外力で上腕横靭帯は伸張することが考えられます。肩関節の内旋時に伸張する靭帯はほかに無く、上腕横靭帯は予想以上に損傷されていると考えています。同側の外旋筋群の緊張が起きます。

施術:肩関節で、外転時や内旋時に疼痛や機能障害がある場合、上腕横靭帯の伸張が起きていることが考えられます。

上腕の伸展、内転、外旋を行う無痛靭帯整復を行えば整復されます。

肩甲帯の靭帯

肩甲骨の靭帯(上肩甲横靭帯 下肩甲横靭帯 烏口肩峰靱帯) 

上肩甲横靭帯 上肩甲横靭帯

構造と働き:上肩甲横靭帯は肩甲切痕の上部を結び肩甲上神経が通っています。下肩甲横靭帯は肩峰の付け根に上向きにつき肩甲上神経が通ります。肩甲上神経は棘上筋と棘下筋に分布されます。

症状:肩関節内旋が続き、上腕横靭帯の伸張が起きて外旋筋である棘上筋や棘下筋が緊張を続けると、肩甲上神経を抹消に引き続けることで上肩甲横靭帯や下肩甲横靭帯の伸張が起きると考えています。靭帯が骨化したりすることもあるようです。(肩甲切痕症候群)まれですが、棘上筋や棘下筋の麻痺も起きるそうです。

施術:棘上筋や棘下筋の緊張があり肩甲骨の背面の痛みがある場合は、上腕横靭帯や上・下肩甲横靭帯の伸張が起きていることが考えられます。肩関節上腕横靭帯の無痛靭帯整復は、上腕の伸展、内転、外旋を行うことでできます。

烏口肩峰靱帯

構造と働き:烏口肩峰靭帯は、肩峰と烏口突起との間につながり烏口肩峰弓を作ります。肩関節外転時受け止めて規制しています。肩峰下包が上腕骨頭と烏口肩峰弓の間にあります。

症状:肩関節内旋状態で外転すると大結節が上を向き烏口肩峰弓にぶつかりやすくなります。強くぶつかったり、繰り返しぶつかりが起きれば、烏口肩峰靱帯が伸張します。

施術:烏口肩峰靱帯の無痛靭帯整復も、上腕の伸展、内転、外旋を行うことでできます。

烏口肩峰靱帯
烏口肩峰靱帯

肩鎖関節の靭帯(肩鎖靱帯 烏口鎖骨靭帯)

肩鎖靱帯

構造と働き:肩鎖靱帯は、肩峰関節面(やや上を向く)と鎖骨肩峰端(やや下を向く)とを結ぶ靭帯です。胸鎖関節と共同して動き、肩甲骨が肩関節の動きに伴って動くことを可能にしています。

症状:肩鎖靱帯は、肩峰や鎖骨に対する外力(急性外力や亜急性外力)により伸張します。肩関節や肩甲骨の動きにより機能障害や疼痛が発生します。肩鎖靱帯だけの場合は外見上の変形は少ないと思います。烏口鎖骨靭帯まで損傷された場合による変形は、整復後、装具を用いますが、医科での処置も必要になります。早期の判断が必要です。

長期の固定が必要になります。

施術:急性捻挫が肩鎖関節で起きた場合は、肩峰を固定して鎖骨肩峰端を前後上下に動かして損傷方向を判断し、逆損傷方向に無痛整復を行います。一定期間の、肩関節の固定包帯を行います。

亜急性捻挫が肩鎖関節で起きた場合は、肩峰を固定して鎖骨肩峰端を前後上下に動かして損傷方向を判断し、逆損傷方向に無痛整復を行います。数回での改善が見られない場合は、固定包帯を行います。


烏口鎖骨靭帯

構造と働き:烏口鎖骨靭帯は、烏口突起と鎖骨を結ぶ強い靭帯です。肩鎖関節の副靭帯として働く。菱形靭帯と円錐靱帯により構成される。菱形靭帯は、肩鎖関節の脱臼を防ぐことに与かり、肩甲骨が前方、内方に動くことを制限する。円錐靱帯は、肩甲骨が後方に動くことを制限する。

症状:肩峰や鎖骨に対する外力(急性外力や亜急性外力)が強く働くと、肩鎖靱帯だけでなく、烏口鎖骨靭帯まで伸張します。この場合は、鎖骨肩峰端が上方に浮き上がった変形が起きて、機能障害や疼痛も強く起きる。

肩甲骨の前方、内方への動きが強く起きると菱形靭帯の伸張が起きる。そのために、鎖骨を固定して肩甲骨を後方から抑えた際に疼痛が発生する。

肩甲骨の後方への動きが強く起きると円錐靭帯が伸張する。そのために、鎖骨を固定して烏口突起を後方に抑えた際に疼痛が発生する。

施術:肩鎖関節に変形(鎖骨肩峰端が上方に浮いた状態)の場合は、肩関節を内転した状態で鎖骨肩峰端を上から強く圧迫して整復します。固定装具によりその圧迫状態を維持することが必要になります。

肩鎖関節に変形の無い場合は、菱形靭帯の伸張か円錐靱帯の伸張かを確認して無痛靭帯整復を行います。

胸鎖関節の靭帯(前・後胸鎖靱帯 鎖骨間靭帯 肋鎖靭帯)

前・後胸鎖靱帯

構造と働き:鎖骨胸骨端と胸骨の鎖骨切痕間の関節(鞍関節)の前後につく靭帯です。関節の間には関節円板があり適合が良くなっている。そのために球関節に近い運動を行う。肩甲骨が肩関節の運動に伴って動くことを可能にする。

症状:鎖骨胸骨端の前後の動きの規制を行います。鎖骨肩峰端が前方に移動すれば、後胸鎖靱帯が伸張して、後方に移動すれば前胸鎖靱帯が伸張します。

施術:鎖骨胸骨端を固定して、鎖骨肩峰端を症状に応じて前後に無痛靭帯整復を行います。

前・後胸鎖靱帯
前・後胸鎖靱帯

鎖骨間靭帯

構造と働き:左右の鎖骨胸骨端を結ぶ強い靭帯です。胸鎖関節包の上面を補強しています。鎖骨肩峰端が下がると鎖骨胸骨端が上がることを規制します。肋鎖靭帯と拮抗関係になります。左右の鎖骨間靭帯も拮抗関係になります。

症状:鎖骨肩峰端が下がりすぎると鎖骨胸骨端が上がり鎖骨間靭帯が伸張します。

施術:鎖骨肩峰端を上げながら鎖骨胸骨端が下がるように無痛靭帯整復を行います。鎖骨間靭帯そのものを胸骨中心から左右に押して無痛方向がないかを確認して、無痛方向があれば、無痛靭帯整復を行います。

鎖骨間靭帯
鎖骨間靭帯

肋鎖靭帯

構造と働き:第1肋骨と鎖骨胸骨端を結ぶ靭帯です。胸鎖関節包の下面を補強しています。鎖骨肩峰端が上がると鎖骨胸骨端が下がることを規制します。鎖骨間靭帯と拮抗関係になります。

症状:鎖骨肩峰端が上がりすぎると鎖骨胸骨端が下がり鎖骨間靭帯が伸張します。

施術:鎖骨肩峰端を下げながら鎖骨胸骨端が上がるように無痛靭帯整復を行います。鎖骨間靭帯そのものを胸骨中心から左右に押して無痛方向がないかを確認して、無痛方向があれば、無痛靭帯整復を行います。


[肘関節]

肘関節の靭帯

腕尺関節:内側々副靭帯(前・後斜走 斜走)

上橈尺関節:橈骨輪状靭帯 方形靭帯 

腕橈関節:外側々副靭帯(橈側々副靭帯 外側尺側々副靭帯)第3の靭帯

腕尺関節の靭帯

内側々副靭帯(前斜走 後斜走 斜走)

構造と働き:上腕骨内側上顆から起こり、三角形に広がる。前部(前斜走)は尺骨の鈎状突起、後部(後斜走)は肘頭の内側縁に付く。中央部(斜走)は前方と後方を扇状に結ぶ。

症状:前部の靭帯(前斜走靭帯)は、肘関節の外反時や伸展時に緊張します。後部の靭帯(後斜走靭帯)は、肘関節の内反時や前腕回内時(特に小指を軸にした回内)に緊張します。中央部の靭帯(斜走靭帯)は、前斜走靭帯と後斜走靭帯の尺骨付着部の位置を規制しています。肘頭を中間位にしようとして上腕三頭筋の緊張が起きます。

後斜走靭帯の上には尺骨神経が走り、その神経を滑車状靭帯が外側から規制しています。尺骨神経は、オズボーン靭帯(尺側手根屈筋と浅指屈筋)でも規制されることで圧迫をされやすくなります。

施術:前斜走靭帯が伸張した場合は、肘関節を内反屈曲位で無痛靭帯整復を行います。後斜走靭帯が伸張した場合は、肘関節を外反伸展位で無痛靭帯整復を行います。斜走靭帯が伸張した場合は、肘頭を中間位で肘関節を伸展して無痛靭帯整復を行います。尺骨神経の症状(鷲手変形やフローマン徴候)がある場合は、手関節を掌尺屈(オズボーン靭帯の短縮)して肘関節を伸展外反(滑車状靭帯の短縮)する無痛靭帯整復を行います。

内側々副靭帯
内側々副靭帯

上橈尺関節の靭帯

橈骨輪状靭帯

構造と働き:上橈尺関節で橈骨頭を固定する規制を行っている靭帯です。字のごとく輪状で橈骨頭が回転できるようになっています。橈骨頭が抹消へ引かれ(手関節尺屈)たり、前腕の回内が強く起きる際に橈骨輪状靭帯は緊張します。

症状:橈骨輪状靭帯が伸張されると、長・短橈側手根伸筋や腕橈骨筋の緊張が起きます。手関節の尺屈時や前腕回内時に疼痛や機能障害が起きます。

施術:前腕回外にて手関節橈背屈で橈骨頭を外側より直圧する無痛靭帯整復を行います。

方形靭帯

構造と働き:上橈尺関節で橈骨頭を固定する規制を行っている靭帯です。橈骨輪状靭帯を助けて尺骨から橈骨頭が離れないように規制しています。

症状:橈骨輪状靭帯が伸張されすぎると、方形靭帯も新調されて、長・短橈側手根伸筋や腕橈骨筋の緊張が起きます。手関節の尺屈時や前腕回内時に疼痛や機能障害が起きます。

施術:橈骨輪状靭帯だけよりも強く、前腕回外にて手関節橈背屈で橈骨頭を外側より直圧する無痛靭帯整復を行います。

方形靭帯
方形靭帯

腕橈関節の靭帯

外側々副靭帯(橈側々副靭帯外側尺側々副靭帯

構造と働き:上腕骨外側上顆から起こり、二股で橈骨頭につく靭帯です。前腕が回内時には、撓側々副靭帯が緊張して規制します。前腕が回外時には、外側尺側々副靭帯が緊張して規制します。

症状:撓側々副靭帯が伸張すると、前腕が回内時に疼痛や機能障害が起きます。外側尺側々副靭帯が伸張すると、前腕が回外時に疼痛や機能障害が起きます。

施術:橈骨頭を外側から圧迫した状態で、前腕が回内時に症状があれば回外した状態で無痛靭帯整復を行います。前腕が回外時に症状があれば回内した状態で無痛靭帯整復を行います。

第3の靭帯
第3の靭帯

3の靭帯

構造と働き:外側上顆から肘頭外方に付く、内側々副靭帯の後斜走靭帯の拮抗関係にある靭帯です。肘関節外反や前腕回外時に、第3の靭帯は緊張します。

症状:肘関節外反や前腕回外が繰り返され、強く起これば、第3の靭帯は伸張して疼痛や機能障害を起こします。内側々副靭帯の後斜走靭帯の伸張のときと同じく肘頭の中間位を維持するために上腕三頭筋が緊張します。

施術:肘関節内反(これで前腕回内が小指の軸で行われる)して前腕回内で、無痛靭帯整復を行います。

[手関節]

手関節 手根部

下橈尺関節の靭帯:三角靭帯(背側橈骨尺骨靭帯 掌側橈骨尺骨靭帯)=関節板

背側の靭帯:背側橈骨手根靭帯 

掌側の靭帯:掌側橈骨手根靭帯 掌側尺骨手根靭帯 

内・外側の靭帯:外側手根側副靭帯 内側手根側副靭帯

手根骨間の靭帯:背側手根間靭帯 掌側手根間靭帯


下橈尺関節の靭帯

三角靭帯

三角靭帯 

構造と働き:橈骨と尺骨茎状突起間の関節板を包むように付く靭帯で、背側(背側橈骨尺骨靭帯)と掌側(掌側橈骨尺骨靭帯)にある。前腕の回内や回外時に橈骨と尺骨間の間が開かないように規制する靭帯です。両靭帯(背側 掌側)は前腕が中間位の際にバランスが良く、回外位の際には背側橈骨尺骨靭帯が尺側手根伸筋に巻き付き掌側橈骨尺骨靭帯が緊張して、回内時には背側橈骨尺骨靭帯が緊張する。

症状:回外時に外力がかかった場合は掌側橈骨尺骨靭帯が伸張して痛みや機能障害があらわれる。回内時に外力がかかった場合は背側橈骨尺骨靭帯が伸張して痛みや機能障害があらわれる。

施術:回外時に掌側橈骨尺骨靭帯が伸張して痛みや機能障害がある場合は、前腕を回内し無痛靭帯整復を行います。回内時に背側橈骨尺骨靭帯が伸張して痛みや機能障害がある場合は、前腕を回外し無痛靭帯整復を行います。整復後は中間位による使用を指導します。運動時に前腕を中間位で行うことは、理にかなっています。 

背側橈骨尺骨靭帯
背側橈骨尺骨靭帯

背側の靭帯

背側橈骨手根靭帯 

構造と働き:背側で橈骨から近位手根列(三角骨 月状骨 舟状骨)に付きます。抹消に広がるように付く靭帯です。手関節屈曲時に緊張する靭帯です。

症状:背側橈骨手根靭帯が伸張すると手関節屈曲時に疼痛や機能障害が起きます。

施術:手関節伸展で無痛靭帯整復を行います。

中手骨右手背側
中手骨右手背側

掌側の靭帯

掌側橈骨手根靭帯 掌側尺骨手根靭帯

構造と働き:掌側で橈骨と尺骨から近位手根列(三角骨 月状骨 舟状骨)と有頭骨に付きます。抹消の中心にまとまるように付く靭帯です。手関節伸展時に緊張する靭帯です。

症状:掌側橈骨手根靭帯が伸張すると手関節伸展時に疼痛や機能障害が起きます。

施術:手関節屈曲で無痛靭帯整復を行います。

手根と中手の靭帯左手掌側
手根と中手の靭帯左手掌側

内・外側の靭帯

外側手根側副靭帯 

構造と働き:拇指中手骨基底部から橈骨外側に付く靭帯です。手関節尺屈時に緊張して規制します。橈骨~舟状骨間は遊びに余裕があり、舟状骨~大菱形骨間は遊びがありません。

症状:外側手根側副靭帯が伸張すると、手関節尺屈時に疼痛や機能障害が現れます。ドケルバンは、この靭帯(橈骨~舟状骨間)の伸張が長拇指外転筋の緊張を生むことから起きていると考えています。

施術:手関節橈屈にて無痛靭帯整復を行います。

内側手根側副靭帯

構造と働き:小指中手骨基底部から尺骨茎状突起に付く靭帯です。手関節橈屈時に緊張して規制します。尺骨茎状突起~三角骨間、三角骨~有鉤骨間は両方とも靭帯の遊びに余裕がある。

症状:内側手根側副靭帯が伸張すると、手関節橈屈時に疼痛や機能障害が現れます。

施術:手関節尺屈にて無痛靭帯整復を行います。

手根骨間の靭帯

骨間靭帯 

構造と働き:骨間靭帯は掌側と背側にあります。手根骨間をつなぎ近位手根列や遠位手根列の塊を確立しています。近位手根列(舟状骨 月状骨 三角骨)は中枢面が橈骨の手根関節面と向き合い手関節の動きを滑らかにしています。

症状:近位手根列が正しく並んでいないと手関節の動きがおかしくなります。掌側と背側の骨間靭帯の長さに差が生じた場合に、近位手根列が正しく並んでいない状態になります。その結果、手関節での疼痛や機能障害が現れます。

施術:骨間靭帯の掌側と背側の圧痛状態を調べます。それぞれの手根骨の圧痛状態により無痛方向を確認します。無痛方向に対して無痛靭帯整復を行います。例:舟状骨が背側から圧迫して疼痛があり掌側から圧迫して無痛であれば、掌側からが無痛方向になります。

[中手部]

手根中手関節の靭帯:背側中手靭帯 掌側中手靭帯 

          背側手根中手靭帯 掌側手根中手靭帯

中手骨基底部間の靭帯

背側中手靭帯

構造と働き:示指~小指の中手骨基底部間の背側に付く靭帯です。動きの少ない関節ですが、小指と拇指の対立運動時に緊張します。

症状:背側中手靭帯の伸張が起きると、小指と拇指の対立運動時に疼痛や機能障害が起きます。

施術:小指と拇指を外転伸展させるように、手根管を開くように無痛靭帯整復を行います。

掌側中手靭帯 

構造と働き:示指~小指の中手骨基底部間の掌側に付く靭帯です。動きの少ない関節ですが、小指と拇指を外転伸展させるように、手根管を開くような運動時に緊張します。

症状:掌側中手靭帯の伸張が起きると、小指と拇指を外転伸展させるように、手根管を開くような運動時に疼痛や機能障害が起きます。

施術:小指と拇指の対立運動をするように手根管を狭くするように無痛靭帯整復を行います。

手根骨と中手骨間の靭帯

背側手根中手靭帯

構造と働き:示指~小指の手根骨と中手骨基底部間の背側に付く靭帯です。動きの少ない関節ですが、中手指節関節の屈曲が強くおきると緊張します。

症状:背側手根中手靭帯の伸張が起きると、中手指節関節の屈曲が強くおきると中手部背側に疼痛や機能障害が起きます。その際に、総指伸筋や橈側尺側の手根伸筋の緊張が起きると考えられます。

施術:中手指節関節を伸展させて無痛靭帯整復を行います。

掌側手根中手靭帯

構造と働き:示指~小指の手根骨と中手骨基底部間の掌側に付く靭帯です。動きの少ない関節ですが、中手指節関節の伸展が強くおきると緊張します。

症状:掌側手根中手靭帯の伸張が起きると、中手指節関節の伸展が強くおきると中手部掌側に疼痛や機能障害が起きます。その際に、浅・深指屈筋や橈側尺側の手根屈筋の緊張が起きると考えられます。弾撥指の原因になると考えています。

施術:中手指節関節を屈曲させて無痛靭帯整復を行います。

[指関節]

指関節の靭帯

中手指節関節:浅横中手靭帯 深横中手靭帯 掌側靭帯 側副靭帯(両側)

指節関節:掌側靭帯 側副靭帯(両側)

中手指節関節の靭帯

浅横中手靭帯

構造と働き:手掌腱膜の抹消端の一部の、示指~小指を横に結び、示指~小指の外転と手掌面の規制を行う靭帯です。MPの横アーチが浅くなる規制です。

症状:浅横中手靭帯の伸張が起きれば、示指~小指のMP伸展外転で示指伸筋や小指伸筋が強く収縮した際に疼痛や機能障害が発生します。

施術:示指~小指のMP屈曲内転でMPの横アーチが深くなるように無痛靭帯整復を行います。

中手指節関節の靭帯

深横中手靭帯

構造と働き:示指~小指の基節骨底を横に結び、示指~小指の内転の背側面の規制を行う靭帯です。MPの横アーチが深くなる規制です。

症状:深横中手靭帯の伸張が起きれば、示指~小指のMP屈曲内転した際に疼痛や機能障害が発生します。

施術:示指~小指のMP伸展外転でMPの横アーチが浅くなるように無痛靭帯整復を行います。

深横中手靭帯  浅横中手靭帯
深横中手靭帯  浅横中手靭帯

指節関節の靭帯

掌側靭帯(MPPIPDIP

構造と働き:掌側の指骨の関節窩と骨頭(中手骨 指骨)を結ぶ靭帯です。伸展を規制しています。掌側に輪状部があり腱鞘を被っています。

症状:掌側靭帯が伸張すると、指の伸展時に疼痛と機能障害が発生します。

施術:屈曲して無痛靭帯整復を行います。

指節関節の靭帯

側副靭帯 副側副靭帯 指節関節靭帯(MP

構造と働き:側副靭帯は、側方の中手骨頭(背側)から基節骨(掌側)に付くMPの側屈を規制する靭帯です。

副側副靭帯は、側方の中手骨頭(側副靭帯の中枢)から輪状部(掌側靭帯の掌側に付く腱鞘を被う)に付きます。MPの過伸展による輪状部の抹消への規制をする靭帯です。

指節関節靭帯は、側方の基節骨(中間部)から輪状部に付きます。MPの屈曲による輪状部の抹消への規制をする靭帯です。

輪状部は、MPの伸展により伸びて繊維間が開き、屈曲により短縮して繊維間が狭くなるアコーディオンのような形状です。

症状:側副靭帯が伸張するとMPの側屈時に疼痛や機能障害が起きます。MP伸展時の側屈時に疼痛や機能障害が増せば、副側副靭帯も伸張していると考えています。(DIP屈曲PIP伸展で起きやすい)MP屈曲時の側屈時に疼痛や機能障害が増せば、指節関節靭帯も伸張していると考えています。(PIP屈曲時におきやすい)

施術:MP伸展で側屈の痛みが強ければ、MP屈曲で無痛方向の側屈整復を行います。MP屈曲で側屈の痛みが強ければ、MP伸展で無痛方向の側屈整復を行います。

側副靭帯 指節関節靭帯(PIP

構造と働き:MPとほぼ同じです。副側副靭帯と同じ構造ですが、副側副靭帯は表示されていない文献もあります。

症状:側副靭帯が伸張するとMPの側屈時に疼痛や機能障害が起きます。MP伸展時の側屈時に疼痛や機能障害が増せば、副側副靭帯も伸張していると考えています。(DIP屈曲PIP伸展で起きやすい)MP屈曲時の側屈時に疼痛や機能障害が増せば、指節関節靭帯も伸張していると考えています。(PIP屈曲時におきやすい)

施術:MP伸展で側屈の痛みが強ければ、MP屈曲で無痛方向の側屈整復を行います。MP屈曲で側屈の痛みが強ければ、MP伸展で無痛方向の側屈整復を行います。

DIP側副靭帯

構造と働き:DIPは側副靭帯だけです。指節関節靭帯はありません。

症状:DIP屈曲時の規制はありません。そのためにヘパーデン結節ができるのかもしれません。

施術:側方への無痛靭帯整復を行います。 

側副靭帯副側副靭帯 抹消部 輪状部 指節関節靭帯
側副靭帯副側副靭帯 抹消部 輪状部 指節関節靭帯
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